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相続税申告時に税務署へ提出必須!戸籍謄本について解説します

戸籍謄本は相続税申告のときに必ず税務署へ提出が必要です。

相続税申告は被相続人の所有していた財産が基礎控除を超える場合に必要となります。
基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算します。

つまり、法定相続人の数が税金の計算に大きく影響します。
そのため、相続税を申告するときには申告書と一緒に法定相続人を証明する書類の提出が必要となります。

法定相続人を証明する書類として活用されているものが今回説明する戸籍謄本です。

戸籍謄本をまったく知りません!という人は少ないと思いますが、いざ集めようとするとわからないことが多く困ってしまう人が多いようです。

今回は戸籍謄本について解説します。

目次

遺言書があっても戸籍謄本が必要な理由

戸籍謄本は相続税申告のときに必ず税務署へ提出が必要です
ということをアドバイスすると↓のような質問を受けることがあります。

今回は遺言書があり、遺産分割は行いません。

司法書士や銀行からは遺言書を提出すれば戸籍謄本の提出は不要と言われました。

相続税申告のときも遺言書を提出すれば戸籍謄本は不要でしょ??

相続の手続きには相続税申告のほかに不動産の名義変更手続き(相続登記)や金融機関の解約手続きがあります。

質問者さんが言うように遺言書を提出すれば不動産の名義変更や銀行の解約手続きができますが、相続税申告のときは遺言書の提出だけではNGです。

相続税は法定相続分課税方式という計算方法で計算されるからです。
カンタンにいうと↓の2段階で計算を行います。

  1. 財産の全体を法定相続人で分けたものと仮定して計算する
  2. 財産を取得した人ごとに相続税を計算する

相続税は財産を取得した人が払う税金ですが、一旦法定相続人で法定相続分に従って相続したものと仮定して計算してから財産を取得した人ごとに相続を計算します。

たとえば1人の相続人が全財産をもらうという分割内容だったとしても、法定相続人が1人の場合と5人の場合とでは払うべき相続税が異なります。
そのため戸籍謄本を提出し法定相続人を特定する必要があります。

遺言書がある場合、戸籍謄本の収集を忘れがちですので気をつけましょう。

まずは用語をおさえる

そもそも『戸籍』とは? 

戸籍制度は元来、徴税や徴兵のために設けられた制度です。

現在は日本国民の出生から死亡までの身分関係(出生、婚姻、死亡、親族関係など)を登録、管理する制度として主に相続人の特定に活用されています。

現在の戸籍制度は一組の夫婦と姓を同じくする子を単位につくられています。

そのため子が結婚することで親の戸籍から抜けて子を筆頭者とした新たな戸籍が作成されることとなります。

『謄本』と『抄本』

戸籍『謄本』戸籍『抄本』
戸簿に記録されている全員について証明したもの

全員のことが記載されているので『戸籍全部事項証明』とよびます。
戸籍に記録されている一部の人について証明したもの

個人のことが記載されているので『戸籍個人事項証明』とよびます。

戸籍を取得するときに悩むのが謄本と抄本の違い。

相続の手続きにおいては全員の記載があるものが必要なので戸籍『謄本』の取得が必要です。

戸籍『抄本』をあえて取得するということはありません。

自治体によっては戸籍全部事項証明と記載されていることもありますがこの記事では戸籍謄本に統一して記載します。

除籍謄本ってなに?

戸籍謄本を取得するときに除籍謄本という用語がでてきます。

除籍謄本とは基本的に戸籍謄本と同じものです。
戸籍の中にいる人が全員いなくなった状態の戸籍謄本を除籍謄本と呼びます。

たとえば、夫婦と子の3人の戸籍謄本があり、子が結婚により戸籍を抜け、夫婦が死亡した場合には3人全員が戸籍からいなくなります。
この状態の戸籍謄本を除籍謄本と呼びます。

相続人を特定するためには除籍謄本も取得する必要があります。

改製原戸籍謄本ってなに?

戸籍謄本には改製原戸籍謄本というものがあります。

戸籍法は過去、何度か改正されています。

改正されて戸籍の様式が変更されると新様式の戸籍が作られます。

新しい戸籍を『現在戸籍』、新しくなる前の戸籍を「改製原戸籍」といいます

改正されると、古い戸籍に記載されていた情報が省略されてしまうため現在戸籍だけだと過去の家族関係を紐解くことができません。

相続人を特定するためには「改製原戸籍謄本」の取得も必要となります。

読み方はかいせいげんこせき。

実務上では、現在戸籍の「現」と原戸籍の「原」とを区別するために『はらこせき』と呼ばれることが多いです。

パターン別 取得すべき戸籍謄本について

戸籍謄本を取得する目的は法定相続人の特定です。
法定相続人のことを理解できると取得しなければいけない戸籍謄本がなにか、おさえることができます。

民法に定められた法定相続人は以下の人です。

配偶者相続人
必ず相続人になる)
血族相続人

配偶者

子がいなければ直系尊属(父母、祖父母)
直系尊属もいなければ兄弟姉妹

法定相続人はその人の結婚の有無、子の有無、直系尊属の有無、兄弟姉妹の有無が明確になることで特定されます。

絶対に取得すべき戸籍謄本

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本+改製原戸籍謄本+除籍謄本

法定相続人の特定には被相続人本人の婚姻歴や子の有無、兄弟姉妹の人数の特定が必要です。

これを特定するために被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得しましょう。

古い戸籍謄本も必要になるため取得するときは戸籍謄本だけでなく、改製原戸籍謄本、除籍謄本も忘れずに取得しましょう。

子どもがいる場合

子どもの現在の戸籍謄本

子どもが法定相続人となる場合には子ども本人の戸籍謄本も取得する必要があります。

子ども本人の戸籍謄本を取得することで子ども本人が生存していることを証明します。

子どもが結婚していない場合には被相続人と同じ戸籍謄本に記載されているため取得する必要はありません。

前妻・前夫との間の子どもの戸籍謄本も必要となります。
(前妻・前夫の間の子どもとの親子関係は切れません。)

子どもがいない場合

直系尊属が存命の場合
→その直系尊属の現在の戸籍謄本

直系尊属が死亡している場合
→直系尊属の死亡の記載がある戸籍謄本+兄弟姉妹の現在の戸籍謄本

被相続人に子どもがいない場合には、直系尊属(親)が法定相続人となります。
直系尊属の現在の戸籍謄本を取得することで証明します。

直系尊属(親)が既に死亡している場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
直系尊属の死亡の記載がある戸籍謄本と兄弟姉妹の戸籍謄本を取得することで証明します。

なお、兄弟姉妹が死亡している場合にはその兄弟姉妹の子が法定相続人(代襲相続)となるため兄弟姉妹の子の戸籍謄本の取得が必要となります。

戸籍謄本の取得方法

本籍地の市役所へGO!

戸籍謄本は本籍地の市役所で取得することができます。

本籍地がわかっている場合にはその本籍地の市役所に行きましょう。

市役所の戸籍課で取得することができます。

本籍地を変更している(転籍といいます)場合には転籍前の市役所窓口にも行く必要があります。

本籍地がわかりません!どうしたらよいですか?

住民票(本籍地記載付き)取得しましょう!

本籍地とは戸籍の所在場所のことです。
本籍と住所は一致している場合もありますが、全く別のものです。

戸籍謄本をいざ取得しよう!でも本籍地がどこなのかわからない。。。

日常生活で本籍地を記載する機会がなく、忘れてしまう方も多いと思います。

本籍地は個人情報のため、役所窓口では教えてもらえません。

調べるためには住民登録している自治体で本籍地記載付きの住民票を取得しましょう。

【令和5年度から】最寄りの市区町村で手続きできる!

令和元年5月24日に成立した戸籍法の一部の改正する法律(令和元年法律16号)により本籍地以外の市区町村で戸籍謄本の発行が可能となりました。

現状はそれぞれの本籍地での取得手続きが必要となり、とくに遠隔地の場合手続きが煩雑となることが問題視され改正にいたりました。

改正後は最寄りの市区町村役場での窓口での手続きのみで取得手続きが完了します。

制度の運用開始は令和5年度中の予定ですが具体的な日はまだ決まっていません。

必要書類

戸籍謄本を取得するときの必要書類は取得する人により異なります。
以下の3パターンごとに説明していきます。

  1. 戸籍に名前がある人(本人)
  2. 戸籍に名前がある人の夫・妻・子・孫・父・母・祖父・祖母
  3. 上記以外の人(代理人)

1、戸籍に名前がある人(本人)の必要書類

・本人確認書類

戸籍に名前がある人(本人)が申請する場合には、本人確認書類があれば申請できます。

運転免許証、パスポート(旅券)、マイナンバーカード(個人番号カード)などを持参しましょう。

上記書類をお持ちでない場合には「健康保険証と年金手帳」など複数の本人確認書類を持参しましょう。

2、戸籍に名前がある人の夫・妻・子・孫・父・母・祖父・祖母の必要書類

・窓口へ行く人の本人確認書類
・戸籍に名前がある人の夫・妻・子・孫・父・母・祖父・祖母であることを証明できる戸籍謄本

戸籍謄本はその戸籍に名前がある人の夫・妻・子・孫・父・母・祖父・祖母も申請できます。

申請の際には自分の戸籍謄本などを持参して親族関係であることを証明する必要があります。

なお、本籍が同じ市区町村の場合にはわざわざ持参する必要はありません。

3、上記以外の人(代理人)の必要書類

・窓口へ行く人の本人確認書類
・委任状

親族以外の代理人が取得する場合には委任状の持参が必要です。

委任状は特段決められたフォーマットはありません。
横浜市のホームページでは以下のフォーマットが紹介されていました。

他の市区町村でもこちらを参考にして作成してみましょう。

手数料

戸籍謄本の発行には手数料がかかります。
手数料は全国一律です。

なお、電子マネー・クレジット・バーコード決済はできません。
現金払いのみとなります。必ず現金を持参しましょう。

戸籍謄本450円
除籍謄本750円
改製原戸籍謄本750円

戸籍謄本は1人に対して必ず1通ですが、除籍・改製原戸籍謄本については1人に対して2通になるか、3通になるか取得するまでわかりません。
(転籍、改製の回数が人により異なるため)
そのため手数料が全部でいくらになるかは取得するまでわかりません。
余裕をもって3,000円~5,000円くらい用意して役所に行きましょう。

まとめ

税務署への提出必須書類である戸籍謄本について解説しました。

戸籍謄本は法定相続人を特定する公的な書類として相続税申告においては必ず提出が必要になります。

戸籍謄本は用語が独特でわかりづらいです。
今回の記事を参考に戸籍謄本の理解を深めていただけると嬉しいです。



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この記事を書いた人

相続税対策・不動産税務に強い税理士です。

『お客様一人ひとりにオーダーメイドのサービスを』を理念とし、サービス提供にあたってお客様との対話を最も重視しています。

神奈川県三浦市出身。1984年生まれ。

追浜高校→明治学院大学→同大学院→
税理士法人レガシィ2年半
→響き税理士法人11年

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