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2025年からの収受印廃止と申告書提出の対応策についてまとめました

国税庁から発表があり、2025年(令和7年)1月から申告書等の控えに収受日付印の押印を行わないことになりました。

収受印は税務署に申告書等を提出した証拠になっていたもので、収受印を押してくれないことによる影響はとても大きいです。

収受印廃止の影響と対応策についてまとめました。

目次

収受印押してくれない問題

この記事を執筆している2024年8月時点では税務署に申告書や申請書を提出すると収受印(正確には収受日付印)を押してくれます。
↓のような印鑑です。

この収受印があることで申告書を提出したことと提出した日付の証になり、実務上、重要視されていました。

が、、政府の『デジタル社会の実現に向けた重点計画』(令和5年6月9日閣議決定)を踏まえ、国税庁が方針を変更。

『納税者が申告書を紙で税務署を提出し、税務署がその収受印を押す』という手続が『デジタル社会』にそぐわない、ということで、押印を廃止することになりました。

具体的にどうなるの?

2025年(令和7年)1月以降に提出した申告書等の控えには収受日付印の押印をしてくれません。

税務署に持参して提出もしくは郵送で提出する場合には正本(提出用)のみ提出しましょう。

ただし、控え用にもう1部印刷したものに税務署へ持参した年月日(郵送の場合には投函して年月日)を記載して保管しておくようにしましょう。

↓こんな感じで申告書上部の余白にメモをしておけばOK。

なお、当分の間の対応として、税務署窓口で交付する「リーフレット」(今般の見直しの内容と申告書等の提出事実等の確認方法をご案内するもの)に申告書等を収受した「日付」や「税務署名」を記載した上で、希望者にお渡しすることを検討しているようです。

税務署から問い合わせがあった場合

申告書を提出したにもかかわらず、税務署から『申告書が提出されていないのでは??』という問い合わせがあったときはどうすればいいのですか?

⇒そうですね。たしかにそのような問い合わせが来る可能性はあります。

そのときには提出年月日を記載している申告書控えなどを提示して提出したことを説明すればOKです。

税務署にて聴き取りを行ったうえで問題なければ申告書を提出したものと取り扱うことになります。

国税庁が発表しているQ&Aにも↓のように記載されています。

国税庁 申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しに関するQ&A (問3)

仮に、申告書等を提出したにもかかわらず、税務署等から、「申告書等が提出されていないのではないか」といった問合せがあった場合などには、納付状況や他の証拠書類を確認しつつ、税理士及び納税者の方からの聴き取りなどを行った上で、そのリーフレットと申告書等の控えなどを確認させていただくことで、原則として、その日に税務署に来署し、申告書等を提出されたものとして取り扱う方向で検討しています。

これからはe-Taxを利用しよう

収受印の押印廃止に対応するためにはe-Taxの利用がオススメです。

e-Taxを利用すれば過去の申告書の提出履歴をパソコン上で確認できるため安心。

個人の方の確定申告書(所得税申告書や贈与税申告書)であれば国税庁ホームページ(確定申告書作成コーナー)から申告書を作成することができ、作成から提出まで完結することができます。

e-Taxのはじめかた

e-Taxをはじめるためには「電子申告・納税等開始(変更等)届出」を提出する必要があります。

「電子申告・納税等開始(変更等)届出」を提出する方法はさまざまな方法があるのですが、一番カンタンなマイナンバーカードをつかった登録方法をお話します。

マイナンバーカードを取得していない場合には↓のサイトをご参照の上、まず、マイナンバーカードを取得しましょう。

■マイナンバーカード総合申請サイト
https://www.kojinbango-card.go.jp/apprec/apply

申請に必要なもの

  1. パソコン
  2. マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン

    スマホにマイナンバーカードを読み込ませることで本人確認を行います。
    iPhoneはiOS 14以上がインストールされたiPhone 7以降の機種が対応します。
    アンドロイドは対応機種は↓のリンクから確認しましょう。
    https://faq.myna.go.jp/faq/show/2587?category_id=3&site_domain=default
  3. マイナンバーカードを申請するときに決めたパスワード

    申告をするときにパスワードが必要です。
    マイナンバーカードを申請するときに決めた↓のパスワードを準備しておきましょう。
    ・署名用電子証明書のパスワード(英数字6~16文字)
    ・利用者証明用電子証明書のパスワード(数字4ケタ)

    パスワードを忘れた場合にはお住まいの市役所で再設定手続きが必要です。

スマホにマイナポータルアプリをインストールする

マイナポータルのアプリを利用してスマホにマイナンバーカードを読み込ませます。

事前にスマホにマイナポータルのアプリをインストールしておきましょう。

iPhoneの場合にはApp Storeから、アンドロイドの場合にはGoogle Playからインストールすることができます。

検索画面にマイナポータルと入力すると↓のアイコンがでてきますのでクリックしてインストールしましょう。

開始届出書の作成の流れ

マイナポータルアプリの準備ができたら開始届出書を作成します。↓のリンクをクリックしましょう。

■e-Tax 開始届出書の作成
https://www.e-tax.nta.go.jp/todokedesho/kaishi3.htm#tabs_1

開始届出書(個人の方用)新規をクリック

マイナンバーカードをお持ちの方はこちらをクリック

スマートフォンで読み取りをクリック

QRコードがでてきます。このQRコードをマイナポータルアプリで読み取りましょう。

マイナポータルアプリを開いて読取りをタップすると読取り画面が表示されます。

QRを読み取ると利用者証明用電子証明書のパスワード(数字4ケタ)を求められるので入力しましょう。

スマホにマイナンバーカードを重ねることでマイナンバーの情報をスマホに読取ります。

読取りが成功すると、パソコンに読取り完了の画面が表示されます。

初めてe-Taxをご利用される方はこちらをクリック

マイナンバーカード情報の確認へをクリック

スマートフォンで読み取りをクリック

QRコードがでてきます。このQRコードをマイナポータルアプリで読み取りましょう。

読取りが完了するとマイナンバーの情報がパソコンに表示されます。問題なければ次へをクリックしましょう。

利用者情報の入力画面になります。空欄を埋めて先へ進みましょう。

申請が完了すると16ケタの利用者識別番号が表示されます。この番号はとても大事なので印刷、スクリーンショットなどで保存しておくようにしましょう。

これでe-Taxの開始届出は完了です。

ただし、相続税申告書は持参か郵送

相続税申告書もe-Tax(電子申告)で申告が可能ですが、一般公開されている相続税のe-Taxソフトの使い勝手が悪いことからオススメできません。

現実的には税務署に持参もしくは郵送のどちらかを選択したほうがよいでしょう。

税務署に持参する場合

税務署に持参するものは1部のみとなります。

ただし、自分の控えに用にもう1部印刷して税務署へ持参した年月日を記載して保管しておきましょう。

2025年(令和7年)1月からは控えを持参しても収受日付印を押してくれません。

郵送で提出する場合

申告書は郵送で提出することもできます。郵送の場合には発送した日(ポスト投函日)を提出日とみなします。

提出用の1部のみ郵送します。

ただし、自分の控えに用にもう1部印刷して税務署へ郵送した年月日を記載して保管しておきましょう。

2025年(令和7年)1月からは控えを送っても収受日付印を押さずに返却されてしまいます。

どうしても確認したい場合には

税務署に提出した申告書や申請書の現物を自分の目で確認したい!という場合には、申告書等閲覧サービスもしくは保有個人情報開示請求を利用しましょう。

申告書等閲覧サービス

申告書等閲覧サービスとは税務署で保管されている申告書などを閲覧できる行政サービスです。

行政サービスのため費用はかかりません。

所定の手続きを行うことで過去に提出した申告書などを見せてくれます。

あくまで『閲覧』なのでコピーはもらえません。なお、写真撮影は認められていますが、動画はNGとなっています。

申告書等閲覧サービスの手続については↓の記事でも詳細を解説しています。

保有個人情報開示請求

保有個人情報開示請求とは過去に提出した申告書などをコピーでもらうことができる制度です。

書面でもらえるのはメリットですが、1件300円の手数料がかかり開示請求まで時間がかかることがデメリットです。

■国税庁ホームページ 開示請求の手続について
https://www.nta.go.jp/anout/disclosure/tetsuzuki-kojinjoho/03.htm

まとめ

国税庁は、2025年1月から申告書などの控えに収受日付印を押印しない方針を発表しました。

収受日付印は申告書提出の証明として重要視されていましたが、今後は自分で記録を残す必要があります。
例えば、控えに提出した日付をメモする方法がよいでしょう。

税務署から提出確認の問い合わせがあった場合には、提出年月日を記載した控えを提示して対応することが求められます。

押印廃止への対応策としてはe-Taxの利用がオススメ。提出履歴を確認できるので安心です。

今回の記事を参考に対応を進めてみましょう。


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この記事を書いた人

相続税対策・不動産税務に強い税理士です。

『お客様一人ひとりにオーダーメイドのサービスを』を理念とし、サービス提供にあたってお客様との対話を最も重視しています。

神奈川県三浦市出身。1984年生まれ。

追浜高校→明治学院大学→同大学院→
税理士法人レガシィ2年半
→響き税理士法人11年

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