被相続人の死亡により死亡退職金を受け取った場合には相続税がかかります。
ただし、相続人が受け取った場合には500万円×法定相続人の数までは相続税の非課税財産となり課税対象から除外することができます。
今回は、相続により死亡退職金を受け取った場合の課税関係についてお話していきます。
死亡退職金には相続税が課税される
被相続人の死亡により退職手当金、功労金などを受け取った場合にはその受け取った金額にはみなし相続財産として相続税が課税されます。
■みなし相続財産とは
民法上の相続財産ではないものの、相続の発生により相続人が取得した財産であることから相続財産とみなして相続税を課税することにしています。
対象は支給額が死亡後3年以内に確定したもの
みなし相続財産として相続税の対象になるのは支給額が死亡後3年以内に確定した場合です。
生前に支給額が確定していた場合には、未収金として民法上の相続財産になります。
(なお、この場合、死亡退職金の非課税の適用は受けられません。)
また、3年後に確定した場合には相続税ではなく、所得税の課税対象となります。(一時所得)
小規模企業共済の受取は死亡退職金として課税される
小規模企業共済に加入している人が共済金を受け取る前に死亡した場合、掛けていた共済金は遺族が受け取ることができます。
この共済金は国からの死亡退職金として相続税が課税されます。
小規模企業共済については↓の記事で詳細解説しています。
弔慰金等を取得した場合の課税関係
死亡退職金と同時に弔慰金(ちょういきん)を受け取ることがあります。
弔慰金(ちょういきん)とは、故人の死亡に対して遺族に支払われる金銭で、主に遺族の生活を支援する目的や、故人への哀悼の意を表すために支給されます。
弔慰金は原則非課税
弔慰金は故人の死亡に対して遺族に支払うものです。
基本通達21の3-9では↓のように規定されており、社会通念上相当と認められるものについては非課税取り扱うこととされています。
■相続税法基本通達21の3-9
個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする。
弔慰金なのか退職金なのかあいまいな場合
弔慰金は原則非課税ではあるものの、実際には、退職金として支給しているのか、弔慰金として支給しているのかあいまいで判断がつかないケースが多いです。
その場合には、普通給与の金額を基準に弔慰金に相当する金額を算定することになります。
業務上の死亡の場合には普通給与の3年分に相当する金額、業務外の死亡の場合には普通給与の6ヶ月分に相当する金額を弔慰金に相当する金額と考え、それを超える金額が退職金として相続税の対象となります。
死亡退職金の非課税
相続人が死亡退職金を受け取った場合には一定の金額までは非課税となり相続税がかかりません。
非課税限度額は↓の算式のとおりです。
■生命保険金の非課税限度
500万円×法定相続人の数
※法定相続人の数
法定相続人の数とは相続放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数のことを差します。
相続放棄がなければ、相続人の数と一致します。
生前に支給額が確定している退職金は対象外
この非課税の対象になるものは死亡後3年以内に支給額が確定している退職金のみです。
生前に支給額が確定していたものは対象外となりますので注意しましょう。
相続人以外が退職金を受け取った場合には対象外
非課税の適用を受けることができるのは『相続人』のみです。
相続放棄をした人や、孫などの相続人以外の親族が受け取った場合には非課税の対象外となりますので注意しましょう。
まとめ
今回は死亡退職金とその課税関係についてお話しました。
死亡退職金には相続税が課税されますが、相続人が受け取る場合は「500万円×法定相続人の数」までは非課税となります。
みなし相続財産として、死亡後3年以内に確定した退職金が相続税の対象です。
3年後に確定した場合は所得税の対象になります。
弔慰金は原則非課税ですが、金額が多すぎる場合は退職金とみなされることがあるので注意しましょう。
また、生前に支給額が確定している退職金や相続人以外の人が受け取った退職金は非課税の対象外です。
相続により退職金を受け取った場合には課税関係を整理して申告書作成を進めましょう。
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