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自分で相続税申告はできますか?

相続税申告って自分でできないの?

このようなご質問をよくいただきます。結論からいうと、財産の内容によっては自分で申告することも不可能ではありません。

しかし、所得税の確定申告とは難易度が大きく異なり、専門的な判断が必要な場面が随所に出てきます。

今回は、相続税申告が難しい理由を4つのポイントに整理してご説明します。

目次

なぜ相続税申告は難しいのか

財産評価が難しい

相続税の計算でまず壁になるのが、財産の「評価」です。

預貯金や上場株式は残高証明書や時価を使えばよいので比較的わかりやすいのですが、土地になると話が変わります。土地は「路線価方式」または「倍率方式」と呼ばれる独自のルールで評価を行い、さらに土地の形状・利用状況・道路との接し方によって複数の補正率をかけ合わせる必要があります。

農地・山林・借地権・生命保険といった特殊な財産にはそれぞれ専用のルールがあり、一つひとつ正確に把握しなければなりません。

評価を誤ると、税額を過大に申告してしまう(払い過ぎ)か、過少に申告してしまう(税務調査で追徴課税)という結果につながります。

特例の適用判断が難しい

相続税には、税負担を大きく減らせる特例がいくつかあります。

代表的なものが「配偶者の税額軽減」と「小規模宅地等の特例」です。

配偶者の税額軽減は、配偶者が取得した財産が法定相続分または1億6,000万円以下であれば相続税がかからないという強力な制度ですが、遺産分割が確定していることが前提です。

小規模宅地等の特例は自宅や事業用地の評価額を最大80%減額できる制度です。
適用を受けるためには誰がどの土地を取得するか、要件を満たしているかの判定が必要です。

これらの特例は申告書に適用申請をして初めて使えるものであり、申告しないと適用されません。

要件を誤って適用すると過大な節税になり、逆に見落とすと本来払わなくてよい税金を払うことになります。

生前贈与や名義財産の判定が難しい

相続税は「亡くなった時点の財産」だけを対象にするわけではありません。

まず、生前贈与加算という仕組みがあります。

相続開始前の一定期間(令和6年以降の贈与は段階的に最大7年分)に受けた贈与財産は、相続財産に加算して計算します。

毎年110万円の基礎控除内で贈与していたとしても、加算の対象になる場合があります。

また「名義財産」の問題があります。子や孫の名義になっていても、実質的に被相続人が管理していた預金は相続財産に含まれます。税務調査で最も指摘されやすいポイントの一つです。

申告書の作成が難しい

以上の作業を経て、ようやく申告書の作成に入ります。

相続税の申告書は第1表から第15表まで多岐にわたる書類で構成されており、それぞれが連動して計算されます。

「e-Taxを使えば簡単にできるのでは?」と思われる方もいるかもしれません。

確かに、国税庁のe-Taxソフト(PCインストール版)を使えば相続税申告書の作成・電子提出は可能です。

しかし、所得税の確定申告のように「金額を入力すれば税額を自動計算してくれる使いやすいWebシステムは、相続税には存在しません。

e-Taxのブラウザ版や確定申告書等作成コーナーは相続税には対応しておらず、PCにソフトをインストールしたうえで、自分で計算した数字を直接入力するという形式です。

土地の評価額も特例の計算も、すべて自力で算出してからソフトに打ち込む必要があります。

初心者の方には決して簡単ではありません。

自分でできる?税理士が必要?判断チェックリスト

自分で申告できる可能性が高い税理士への依頼を検討
財産が預貯金・上場株のみ
土地や不動産がない(または1か所のみ)
相続人が配偶者のみ、または少人数
生前贈与や名義財産が少ない
平日に税務署に相談に行ける時間がある
財産に複雑なものがある(貸地や非上場株式など)
小規模宅地等の特例を使いたい
配偶者税額軽減を適切に使いたい
過去の生前贈与や名義財産が心配
税務署に相談に行く時間がない

税理士に依頼するメリット

① 特例を最大限に活用し、払い過ぎを防ぐ

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を最大限活用し、相続税の払いすぎを防ぐことができます。

税理士に依頼することで、使える特例を漏れなく洗い出し、最も有利な遺産の分け方も含めて提案してもらえます。


② 税務調査のリスクを大幅に下げる

相続税の税務調査は、申告件数に対して一定の割合で行われており、申告内容に誤りや漏れが発見された場合は追徴課税が発生します。

調査で最もよく指摘されるのが、名義預金の計上漏れと、土地評価の誤りです。

「知らなかった」では済まされないのが税務の世界です。

自分で申告した場合、こうした落とし穴に気づかないまま提出してしまうリスクがあります。

税理士は財産の洗い出しから評価まで専門家の目でチェックするため、申告漏れや誤りを事前に防ぐことができます。

万が一税務調査が入った場合も、税理士が窓口となって対応するため、精神的な負担も大きく軽減されます。


③ 膨大な時間と労力を節約できる

相続税申告の作業量は、想像以上に多いものです。

戸籍の収集・財産目録の作成・土地の路線価評価・遺産分割協議書の作成・申告書の作成と添付書類の整理

——これらをすべて10ヶ月以内にこなさなければなりません。

しかも、相続が発生した直後は葬儀・各種届け出・金融機関の手続きなど、やるべきことが山積みです。

そのような状況の中で専門知識が必要な申告作業まで抱えるのは、心身ともに大きな負担になります。

税理士に依頼すれば、こうした作業の大部分をお任せでき、ご家族がきちんと気持ちの整理をする時間も確保できます


④ 分割方法や二次相続まで含めた総合的なアドバイスが受けられる

税理士の役割は、申告書を作ることだけではありません。

どのように遺産を分けるかによって、相続税の総額は大きく変わります

たとえば、配偶者がすべての財産を相続すると、一次相続(今回の相続)の税負担は軽くなりますが、配偶者が亡くなったときの二次相続で相続人が多額の税金を負担することがあります。

一次・二次の相続をトータルで試算し、最も有利な分割方法を提案するのも税理士の重要な仕事です。

また、遺産整理後の資産管理や、次世代への生前贈与対策についても継続的に相談できます。

単なる申告代行にとどまらず、財産と想いを次の世代に引き継ぐためのパートナーとして活用していただけます。

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この記事を書いた人

相続税対策・不動産税務に強い税理士です。

『お客様一人ひとりにオーダーメイドのサービスを』を理念とし、サービス提供にあたってお客様との対話を最も重視しています。

神奈川県三浦市出身。1984年生まれ。

追浜高校→明治学院大学→同大学院→
税理士法人レガシィ2年半
→響き税理士法人11年

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