父が『自筆証書遺言を法務局に預けたから』と言い残し亡くなりました。この制度、検認手続きがいらない、っていうけど実際どうすればいいんですか?
自筆証書遺言保管制度という制度が2020年7月に始まりました。
自筆で書いた遺言書を法務局が保管してくれる制度です。
この制度を利用すると相続発生後に裁判所での検認手続きが不要というメリットがあり活用されている方も多い制度です。
今回は自筆証書遺言保管制度を利用した人に相続が発生したあと相続人がやるべき手続きについて解説していきます。
遺言書情報証明書の交付の請求
法務局で保管されている遺言書、わたしにください!
、、といっても法務局は遺言書を返してくれません。
法務局に保管された自筆証書遺言書の原本は相続人であっても返還することはできません。
かわりに『遺言書情報証明書』という書類を発行してもらいます。この証明書はざっくばらんにいうと遺言書をコピーしたもの。
この書類があれば遺言書原本の代わりとして各種手続きに使用できます。
まずは戸籍謄本をとろう!
遺言書情報証明書を申請するためには以下の戸籍謄本などが必要です。
- 遺言者の出生から死亡時までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票の写し(作成後3ヶ月以内)
戸籍謄本は本籍地の市役所で取得することができます。
本籍地がわかっている場合にはその本籍地の市役所に行きましょう。
市役所の戸籍課で取得することができます。
法定相続情報一覧図があれば戸籍謄本は不要です。
戸籍謄本や法定相続情報一覧図の取得方法について確認したい方は以下の記事をご覧ください。
手続きに必要な書類
遺言書情報証明書を申請するときに必要になる書類は以下のとおりです。
- 交付請求書
- 遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票(発行後3ヶ月以内)
- 1,400円の収入印紙
- 顔写真付きの官公署から発行された身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード等)
- 交付請求書
- 遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票(発行後3ヶ月以内)
- 1,400円の収入印紙
- ご自身の住所を記載した返信用封筒と切手
手続きできる法務局一覧(神奈川県)
証明書の請求は、全国どこの法務局(遺言保管所)でも手続きできます。
神奈川県の証明書発行を取り扱っている法務局は↓の表のとおりです。
名称 | 所在地 |
---|---|
横浜地方法務局(本局) 案内図 | 〒231-8411横浜市中区北仲通5丁目57番地 横浜第2合同庁舎 |
湘南支局 案内図 | 〒251-8523藤沢市辻堂神台二丁目2番3号 |
川崎支局 案内図 | 〒210-0012川崎市川崎区宮前町12-11川崎法務総合庁舎 |
横須賀支局 案内図 | 〒238-8536横須賀市新港町1番地8横須賀地方合同庁舎 |
西湘二宮支局 案内図 | 〒259-0123中郡二宮町二宮1240番地1 |
厚木支局 案内図 | 〒243-0003厚木市寿町三丁目5-1厚木法務総合庁舎 |
相模原支局 案内図 | 〒252-0236相模原市中央区富士見六丁目10-10相模原地方合同庁舎 |
他府県についてはこちら↓で確認できます。
https://www.moj.go.jp/MINJI/07.html
手続きの流れ
①書類を書く
まず、交付請求書を準備する必要があります。交付請求書の様式は↓からダウンロードできます。
記載例・記載上の注意事項は↓になります。こちらを参考に記入してみましょう。
②来庁する場合には予約が必要
来庁して手続きする場合にはかならず予約が必要です。アポナシで行っても対応してくれませんので気をつけましょう。
予約は法務局のシステムで行います。システムは↓です。
予約ができたら予約当日に必要書類を持参して保管所へ行きましょう。
郵送手続きも可!
郵送での手続きも可能です。書類を記載して必要書類と一緒に郵送しましょう。返信用封筒に記載した住所宛てに結果が届きます。
証明書をもらったあとやるべきこと
遺言執行者を確認
中身を見たらまずは遺言執行者を確認しましょう。
遺言執行者とはその名のとおり、遺言に書いてある内容を執行する人をさします。
遺言執行者は相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。
具体的には不動産の名義変更を進めたり、預金の解約などの銀行手続きを行います。
遺言書にて遺言執行者が指定されている場合には、その指定された遺言執行者が手続きを進める必要があります。
他の人が勝手に手続きを進めることは認められません。
遺言執行者がやるべきこと
遺言執行者は遺言の内容を執行していくことが仕事ですがそれと同時並行に相続人に対して遺言書の内容を開示をしていく必要もあります。
なぜなら兄弟姉妹以外の相続人には遺留分(いりゅうぶん)という法律上確保された最低限度の権利が認められているからです。
仮に遺言書でなにも財産をもらえない場合でも遺留分を請求する権利を有しています。
そのような権利行使をするか否かの判断のため相続人に対し遺言書の内容の開示、財産の内容の開示を行う必要があります。
遺言執行者がやるべきことは以下の5つです。
- 遺言執行者になることを相続人へ通知する
- 戸籍謄本を集めて相続人調査を行う
- 遺言書の内容を相続人へ通知する
- 相続財産の目録を作成して相続人へ交付する
- 遺言の内容を実行する
それぞれの手続の詳細は以下の記事で解説しています。よろしければご覧ください。
まとめ
自筆証書遺言保管制度を利用した人に相続が発生したあと相続人がやるべき手続きについて解説しました。
保管制度を利用することで裁判所での検認手続は不要ですが、法務局で遺言書情報証明書という書類の取得が必要です。
書類の取得には戸籍謄本が必要になりますので、戸籍謄本を取得してない人はまず戸籍謄本の取得から始めましょう。
必要書類が揃ったあとの流れは↓のとおりです。来庁して受け取る場合には事前予約が必要なので注意しましょう。
郵送で申請することもできます。ご自身の住所を記載した返信用封筒と切手を同封することを忘れないようにしましょう。
遺言書情報証明書が取得できたら遺言執行者を確認しましょう。
遺言の実行は遺言執行者以外の人はできません。
遺言執行者の人は相続人へ遺言内容の通知を行ったうえで遺言を実行していく必要があります。
遺言執行者は委任することもできますので自分でやるのが難しい場合には専門家への委任も検討しましょう。
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