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親・兄弟の財産がわからない!相続財産を調べる方法について解説!

親が亡くなり財産の相続手続きを進めたいです。
でも、、一緒に生活していなかったので、どこになんの財産を持っているかわからないんです、、、。

一緒に生活をしていないと(していても)家族がどんな財産をもっているかはわからないものです。

相続手続きをしたくてもどこに連絡すればよいかがわからず途方に暮れてしまいますよね。

そんなときには財産の所在を調べる手続きを進めましょう。
すべての財産を調べることはできませんが大部分は調べることができます。
今回は財産の所在をしらべる手段についてお話しします。

目次

まずは戸籍謄本をとろう!

被相続人の財産の所在を調べるためには被相続人との相続関係が確認できる戸籍謄本の提出が必要となります。

戸籍謄本を取得していない人はまず、以下の2つの戸籍謄本の取得から進めましょう。

  • 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本
  • 相続人本人の戸籍謄本

戸籍謄本は本籍地の市区町村役場にて取得することができます。

誰の戸籍謄本を取ればいいの?どうやって取ればいいの?などの戸籍謄本の取得方法については以下の記事で詳細を解説しています。

戸籍謄本をまだ取得していない人はこちらの記事からご覧ください。

不動産を調べる方法

名寄帳を取得する

名寄帳。なよせちょうと読みます。
名寄帳とは不動産に関する情報が記載されている書類です。
名寄帳は不動産が所在する市役所で取得できます。
手数料は市区町村により異なります。横浜市は1枚につき300円です。

一般的には『名寄帳』と呼ばれますが、正式名称は役所によりビミョーに異なります

■名称例

  • 横浜…土地・家屋総合名寄帳登録事項証明書
  • 川崎…総合名寄帳(土地・家屋)
  • 東京…土地・家屋名寄帳

正式名称を覚える必要はないです。『名寄帳』というワードを覚えておけば問題ありません。

記載されている情報

名寄帳には以下の情報が記載されます。
その市町村で所在している不動産が一覧形式で表示されるため不動産の所有関係を把握することができます。

  • 不動産の所在
  • 所有者
  • 状況
  • 及び
  • 課税標準である価格等

東京都の名寄帳は↓こんな感じです。

注意点1 調べられるのは請求した市町村に存在するものに限る!

名寄帳に記載される不動産はその役所の管轄に所在する不動産のみです。

たとえば横浜市の場合には区ごとの管轄になっています。
神奈川区の名寄帳を取得しても、西区の不動産は記載されません。

不動産の所在がまったくわからない場合には所在を調べることは難しくなります。

注意点2 共同で所有している不動産は調べられないこともある。

『被相続人が単独で所有していた不動産』と『他の人と共同して所有していた不動産(いわゆる共有不動産)』の名寄帳は別々に作成されます。

そして市区町村では共有者すべての名前を把握しておらず代表者のみ把握しています。

代表者が被相続人以外の共有者になっている場合には、その共有者の名前がわからないと調べられません。

名寄帳だけではすべての不動産を調べられるわけではない点には注意が必要です。

申請方法・必要書類

固定資産の所在する市役所、区役所の資産税課で申請することができます。

名寄帳の申請のときに必要になる書類は以下のとおりです。以下の書類を準備して市役所、区役所へ行きましょう。

相続人本人が申請する場合
  1. 相続関係を確認できる戸籍謄本
  2. 申請者の氏名・住所が確認できる本人確認書類のコピー
代理人が申請する場合
  1. 相続関係を確認できる戸籍謄本
  2. 代理人の氏名・住所が確認できる本人確認書類のコピー
  3. 委任状

代理人が申請する場合には委任状が必要です。委任状は特段決められたフォーマットはありません。

こちらのフォーマットをご活用ください。

銀行を調べる方法

・『どの銀行に口座を持っているか?』を調べる方法はない
・取引していた銀行を推測してから残高証明書を取得する

被相続人が所有している銀行口座を一括で調べる方法はありません。

まずは自宅にある通帳・キャッシュカード・送付物・PCメールから取引していた銀行を推測するしかありません。

取引していた銀行が推測できたら銀行に連絡を取り、残高証明書を取得しましょう。

残高証明書を取得することで相続時点の残高がわかるだけではなく、同じ銀行で複数の支店に口座がある場合には別の支店の口座も把握できます。

残高証明書の取得手続きは金融機関により異なりますが以下の書類を持参することで手続きを進めることができます。

書類を集めた上で金融機関に連絡をしてみましょう。

相続人本人が申請する場合
  1. 相続関係を確認できる戸籍謄本
  2. 相続人代表者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  3. 相続人代表者の実印
  4. 申請者の氏名・住所が確認できる本人確認書類のコピー
代理人が申請する場合
  1. 相続関係を確認できる戸籍謄本
  2. 相続人代表者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  3. 代理人の氏名・住所が確認できる本人確認書類のコピー
  4. 相続人の代表者の実印が押印された委任状

代理人が申請する場合には相続人の代表者の実印が押印された委任状が必要です。
委任状は特段決められたフォーマットはありません。

こちらのフォーマットをご活用ください。

ゆうちょ銀行を調べる方法

現存調査(貯金の有無の調査)の手続きをする。

ゆうちょ銀行は現存照会という手続きをすることで口座の有無を調べることができます。

ゆうちょ銀行は日本全国で口座を開設することができるため口座を持っている人が多いです。

現存調査をすることで把握していなかった口座を発見されることもしばしば。
お手元にゆうちょ銀行の通帳がある場合でも、ない場合でも現存調査をすることをオススメします。

以下の書類を持参して近隣の郵便局にて手続きすることができます。

相続人本人が申請する場合
  1. 相続関係を確認できる戸籍謄本
  2. 相続人代表者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  3. 相続人代表者の実印
  4. 申請者の氏名・住所が確認できる本人確認書類のコピー
代理人が申請する場合
  1. 相続関係を確認できる戸籍謄本
  2. 相続人代表者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  3. 代理人の氏名・住所が確認できる本人確認書類のコピー
  4. 相続人の代表者の実印が押印された委任状

代理人が申請する場合には相続人の代表者の実印が押印された委任状が必要です。
委任状はゆうちょ銀行で定められたフォーマットがあります。

見本を参考に記載してみてください。

証券会社を調べる方法

ほふり(証券保管振替機構)に登録済加入者情報の開示請求をする

ほふり(証券保管振替機構)とは証券会社から預けられた投資家の株式などを集中保管している日本で唯一の保管振替機関です。
そのため、ほふりに開示請求をすることでどの証券会社に口座をもっているか確認することができます。

開示結果の見本は↓こちら。


開示されるのは口座を開設している証券会社・信託銀行名のみです。

保有している上場株式等の銘柄名、取引履歴、保有残高は確認できません。

開示請求の結果をもとに証券会社や信託銀行に連絡して残高証明書の取得手続きを進めましょう。

ほふりでは非上場株式は管理していません。
そのため非上場株式の口座開設されている証券会社・信託銀行等の一覧は確認できません。

開示請求の手数料

開示請求には1件 6,050 円(税込)手数料がかかります。調査した結果、該当がない場合でも開示費用はかかります。

同一株主については氏名及び住所の組合せごとに1件と数えます。

以下のように同時に複数の調査対象の開示請求をする場合には2件目以降は、1件あたり1,100円(税込)が加算されます

通常6,050円(税込)
現姓・現住所と旧姓・現住所で請求する場合 2件 7,150円(税込)
(+1,100円)
現姓で現住所と旧住所2件で請求する場合   3件 8,250円(税込)
(+2,200円)

 なお、法務局発行の法定相続情報一覧図(原本)を提出する場合は、1,100円(税込)値引きされます。

必要書類

相続人本人が申請する場合
  1. 申請者の氏名・住所が確認できる本人確認書類のコピー
  2. 相続関係を確認できる戸籍謄本もしくは法定相続情報一覧図
  3. 被相続人の住所の確認書類
    ・本人確認書類のコピー
    ・住民票の除票
    ・戸籍の附票
    ・株主(被相続人)宛の株式関係書類(議決権行使書、配当金計算書)

開示請求は登録されている住所の情報で調査を行います。
株主として登録されている住所が旧住所のままの場合、開示結果から漏れることがあります。
住所移転をされている場合には旧住所に住んでいたことが確認できる書類も用意したうえで申請したほうが好ましいです。

代理人が申請する場合
  1. 申請者の氏名・住所が確認できる本人確認書類のコピー
  2. 相続関係を確認できる戸籍謄本もしくは法定相続情報一覧図
  3. 被相続人の住所の確認書類
    ・本人確認書類のコピー
    ・住民票の除票
    ・戸籍の附票
    ・株主(被相続人)宛の株式関係書類(議決権行使書、配当金計算書)
  1. 代理人の氏名・住所が確認できる本人確認書類のコピー
  2. 相続人代表者の印鑑証明書(発行から6ヶ月以内のもの)
  3. 相続人の代表者の実印が押印された委任状

代理人が申請する場合には相続人の代表者の実印が押印された委任状が必要です。
ほふりで提示されている委任状のフォーマットは以下からダウンロードできます。
見本を参考に記載してみてください。

申請書と提出先

開示請求の申請書と記載例は以下のとおりです。
現姓・旧姓両方で請求する場合は姓ごとに1枚ずつ記入が必要となります。

申請書の提出は窓口ではできず、郵送のみの受付となります。
申請書と必要書類を下記住所まで郵送しましょう。

【郵送先】
〒103-0026
日本橋茅場町郵便局留

東京都中央区日本橋兜町7番1号 KABUTO ONE
株式会社証券保管振替機構
開示請求事務センター 行

結果の郵送と手数料の支払い

開示結果は郵便局の代引サービスで届きます。結果の受け取り時に手数料の支払いが必要になりますのでご注意ください。

提出書類に不備がない状態で書類提出から開示結果の送付までには2週間から3週間ほどかかります。

手続きが混み合っているとさらに時間がかかりますので余裕をもって申請を進めましょう。


問い合わせ先

銀行や証券会社のように窓口での手続きができませんので、何か不明な点がありましたら以下にお問い合わせください。

【問い合わせ先】
TEL 03-5665-3642(受付時間 平日10時から16時)
株式会社証券保管振替機構
開示請求事務センター

生命保険契約を調べる方法

生命保険契約照会制度を利用する

生命保険は保険証券で契約の有無を確認できますが、古い契約の場合、保険証券が見当たらないこともありますよね。
自分で加入しているものでも記憶があやふやになることがあるので、家族が加入していた生命保険を探すのはとても大変です。
そんなときには生命保険契約照会制度を利用しましょう。

生命保険契約照会制度とは

生命保険協会という団体を通じて全国の生命保険会社に生命保険契約の有無について調査依頼を行う手続きです。

以下の事由により生命保険契約に関する手がかりを失い保険金等の請求が困難な場合に調査依頼をすることができます。

  • 死亡
  • 認知判断能力の低下
  • 災害時の死亡・行方不明

生命保険協会が照会を受け付けた日現在有効に継続している契約者および被保険者名で生命保険契約の有無について調査を行います。

ただし、調査は生命保険契約の有無のみとなるので注意が必要です。

生命保険契約の種類の調査や保険金等の請求の代行はできません。
できないことを↓にまとめましたので参考にしてください。

できないこと
生命保険契約の種類の調査
財形保険契約及び財形年金保険契約の調査
支払いが開始した年金保険契約の調査
保険金等が据え置きとなっている保険契約の調査
保険金等の請求の代行

必要書類

相続人本人が申請する場合
  1. 申請者の氏名・住所が確認できる本人確認書類のコピー
  2. 相続関係を確認できる戸籍謄本もしくは法定相続情報一覧図のコピー
  3. 死亡診断書のコピー

原則として相続人本人にて申請する必要があります。
代理人の範囲は弁護士、司法書士、行政書士などに限られるため相続人の親族は委任状があっても認められない可能性があります。

申請方法

WEBによる申し込み

以下のページからマイページにログインして必要事項の入力および必要書類のアップロードを行うことで手続きを進めます。WEB申し込みの手引を参考にしながら進めてみましょう。

https://www.seiho.or.jp/contact/inquiry/pdf/tebiki.pdf

https://seiho.force.com/seiho/s/login/?ec=302&startURL=%2Fseiho%2Fs%2F

書面による申し込み

以下のページに必要事項を入力することで生命保険協会から申請書類や利用の手引が届きます。届いた申請書類をもとに手続きすることになります。

https://www.seiho.or.jp/contact/inquiry/paper/

問い合わせ先

銀行や証券会社のように窓口での手続きができませんので、何か不明な点がありましたら以下にお問い合わせください。

【問い合わせ先】
03-3286-2648(受付時間 平日9時から17時)
生命保険相談所

まとめ

財産がわからないときの調べ方についてお話ししました。
すべての財産を調べることはできませんが手がかりとなる情報をもとに手続きを進めていきましょう。

財産申請先調べ方
不動産市町村名寄帳
銀行銀行取引していた銀行を推測→残高証明書を取得
ゆうちょゆうちょ現存調査(貯金の有無の調査)
証券会社ほふり登録済加入者情報の開示請求
生命保険生命保険協会生命保険契約照会制度

手続きには戸籍謄本が必要となりますのでまずは戸籍謄本を集めることが先決です!
戸籍謄本のことは以下の記事で解説しています。こちらも合わせてご覧ください。


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この記事を書いた人

相続税対策・不動産税務に強い税理士です。

『お客様一人ひとりにオーダーメイドのサービスを』を理念とし、サービス提供にあたってお客様との対話を最も重視しています。

神奈川県三浦市出身。1984年生まれ。

追浜高校→明治学院大学→同大学院→
税理士法人レガシィ2年半
→響き税理士法人11年

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