相続対策を考える上では自分の財産の『わたしかた』を検討しておく必要があります。
自分の財産を自分ですべて使い切る、ということは意外と難しいもの。
自分の今後の生活のためにお金は一定額必要ですし、自分の死期はコントロールすることができません。
わたしかたで検討すべきポイントは
- いつ、わたしたいか?
- なぜ、わたしたいか?
このふたつです。
この2つが明確になることで適切な相続対策を実行できます。
今回はこの2つのポイントについてお話しします。
いつ、わたしたいか?
生前?死亡時?
財産をわたすタイミングは突き詰めると↓のふたつしかありません。
- 『生前にわたす』
- 『死亡時にわたす』
ただし二者択一で選択する必要はありません。
自分の財産のうち〇〇は生前にわたして、〇〇は死亡時にわたそう、という感じで財産の中で振り分けをしていくのが現実的でしょう。
振り分けをするためには自分の財産と今後の生活を見通す必要があります。
まずは自分の財産の棚卸しと今後の収入・支出の見通しをたてましょう。
財産一覧や収支予測表の作成のポイントについては別の記事でも解説しています。
なぜ、わたしたいか?
わたすタイミングが整理できたらなぜ、わたしたいのか、その目的を改めて考えましょう。
目的によってやるべき対策が異なります。
以下、具体例で説明します。
なるべく相続税を減らしたい
生前にわたす場合の目的として一番わかりやすいものは『なるべく相続税を減らしたい』というもの。
相続税を減らすためには財産を減らすことが有効です。
生前贈与対策を実行して生前に財産を渡すことで財産を減らしていく対策を実行していくべきでしょう。
財産管理をしてほしい
生前にわたしたい理由として次に多いのが『財産管理をしてほしいから』というもの。
生前に自分の財産を子など信頼できる親族にわたしておくことで、自分が認知症などになり意思表示ができなくなったときでも財産を自由に管理、運用、処分することができます。
財産管理を目的とする場合には、自らを受益者とした家族信託を実行すると効果的です。
生前贈与で財産をわたす目的は達成されるものの贈与税負担が重く、好ましくない場合があります。
財産管理を目的とした相続対策についてはこちらの記事でも解説しています。
財産の分け方を自分で決めたい
死亡時に残った財産について死亡後の分け方を自分で決めたい場合には遺言書の作成が必須です。
遺言書がない場合には、相続人による話し合いとなります。
また、相続時の財産については、相続人以外には相続させることはできません。
- 自分の財産を孫に直接わたしたい
- とある施設や団体に寄付したい
という場合にも遺言書の作成が必須です。
相続人を確認しよう
死亡時の財産の『わたしかた』を考えるときには『相続人とはだれか?』を理解しておく必要があります。
民法の規定を整理すると、相続人となる人のパターンは以下の6パターンのいずれかとなります。
配偶者がいる | 配偶者がいない |
① | 配偶者+子④子 |
②配偶者+直系尊属 | ⑤直系尊属 |
③配偶者+兄弟姉妹 | ⑥ | 兄弟姉妹
相続発生時点で婚姻関係にある配偶者は必ず相続人となります。配偶者のことを配偶者相続人とも呼びます。
血のつながっている家族も相続人となります。これらの人のことを血族相続人と呼びます。
血族相続人には第1順位から第3順位まで定められており、第1順位に相続人となるべき人がいない場合には第2順位。第1順位と第2順位に相続人となるべき人がいない場合には第3順位、となります。
- 第1順位 子
- 第2順位 直系尊属(親・祖父母)
- 第3順位 兄弟姉妹
相続対策でとくに注意すべき点は第3順位の兄弟姉妹が相続人となるケース。
子がいない場合には配偶者と自分の兄弟姉妹が相続人になります。
相続発生後、自分と血の繋がりのない兄弟姉妹と相続の話し合いをするのは心理的ハードルが高いです。
そんなときには事前に遺言書を作成しておけば相続人間の話し合いが不要になるので安心です。
なにも対策しない場合はどうなる?
財産の『わたしかた』について何も対策しないということは、残った財産の使い道を相続人にゆだねる、ということ。
あとは相続人にまかせる!
という方針ならばそれもOK。ムリに対策をする必要はありません。
ただし、認知症や不慮の事故により意思判断能力がなくなることを想定した対策は別途検討すべきです。
本人の意思判断能力がなくなると資産の処分・運用・活用ができなくなり家族が困ることになります。
まとめ
相続対策を考える上では自分の財産の『わたしかた』を検討しておく必要があります。
- いつ、わたしたいか?を検討する
『生前』なのか『相続時』なのか - なぜ、わたしたいか?を検討する
目的が決まればやるべきことが決まる
例えば、、
・相続税を減らしたい場合には生前贈与
・財産管理を目的の場合には家族信託
・相続時の分け方を自分で決めたい場合には遺言書作成 - なにも対策しない=相続時の分け方を相続人にゆだねる、ということ。
ただし、認知症や不慮の事故により意思判断能力がなくなることを想定した対策は別途検討すべき。
また、検討にあたっては事前に自分の財産一覧表と今後の収支予測表の作成も必要です。未作成の場合にはこちらの記事を確認して作成してみましょう。
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